自治体や地域に関する情報には、住民に知ってもらう必要がある一方で、文章だけでは内容が伝わりにくいものがあります。
制度、地域の取り組み、防災、事業報告など、正確に説明しようとするほど情報量が増えるためです。
こうした情報を漫画にする場合、資料に書かれている内容を順番にセリフへ置き換える必要はありません。
重要なのは、
「この情報が、地域住民の生活とどう関係するのか」
を具体的な場面として見せることです。
まんがクリエイトでは、市議会議員からの依頼で、地域で発生した災害と復旧への取り組みを住民向けに伝える行政活動広報漫画を制作した実績があります。チラシとWebの両方で使用する漫画として制作した事例です。
この記事では、この実例も交えながら、自治体・行政・地域広報で漫画を使うときの考え方を紹介します。
行政・地域広報では「情報が正しい」だけでは届かないことがある
行政や公共性の高い情報では、まず正確であることが重要です。
一方で、
- 誰に関係する情報なのか
- なぜ今知っておく必要があるのか
- 自分の生活とどう関係するのか
が分からなければ、住民にとっては読み進めにくい情報になります。
漫画を使う場合は、正確な説明を削るのではなく、その説明を読む理由を先に見せるという役割を持たせることができます。
たとえば、
地域である出来事が起きる
↓
住民が疑問を持つ
↓
行政・地域の取り組みを知る
↓
現在どうなっているのか理解する
という流れです。
自治体・行政広報では、誰の視点で伝えるかを決める
発信する側の説明だけで漫画を作ると、
○○事業を実施しました
○○制度があります
○○の取り組みを行っています
という説明が中心になりやすくなります。
一方、住民側を主人公にする場合に軸になるのは、
「それが自分たちにどう関係するのか」
です。
その場合は、地域住民に近い人物を主人公にする方法があります。
たとえば、
- 子育て世帯
- 高齢者
- 事業者
- 地域で働く人
- その制度を初めて知る人
などです。
一方で、議員や行政側など、活動する側を主人公にし、何を考え、どのような取り組みを行っているかを見せる構成もあります。誰を主人公にするかは、誰に何を伝えたい漫画なのかに応じて決めると、必要な説明も絞り込みやすくなります。
「何をしたか」だけでなく「なぜ必要だったか」を描く
広報資料では、実施内容や成果を説明することが多くなります。
漫画では、その前段として、
なぜその取り組みが必要になったのか
を場面として見せる方法があります。
たとえば災害に関する広報であれば、
- 地域で何が起きたのか
- 住民にどんな影響があったのか
- どのような対応が必要になったのか
- どんな取り組みが行われたのか
という順番です。
背景を理解したあとで取り組みを説明する方が、単なる活動一覧ではなくストーリーとして構成できます。
制度や施策のすべてを漫画にしない
公共情報では、正確性のために細かな条件や数字を掲載しなければならない場合があります。
しかし、そのすべてを漫画の吹き出しに入れると読みにくくなります。
そこで、
漫画で中心に扱うもの
- 住民の状況
- なぜ情報が必要なのか
- 施策・制度の大まかな意味
- 次に確認すること
漫画だけに任せず、本文・注記・公式情報でも確認できるようにするもの
- 詳細条件
- 正式な制度名称
- 数値
- 申請条件
- 問い合わせ窓口
- 最新情報
というように役割を分けます。必要に応じて漫画内にも記載しつつ、条件や最新情報は本文・注記・公式情報でも確認できるようにしておくと安全です。
漫画を公式情報の代わりにするのではなく、公式情報を理解する入口として利用する考え方です。
行政活動広報漫画の制作事例
まんがクリエイトでは、市議会議員からの依頼で、地域住民向けの行政活動広報漫画を制作しました。
この制作では、
- 制作目的:行政活動の広報
- 使用用途:チラシ・Web
- 想定読者:地域住民
という内容でした。
地域で起きた災害と、そこからの復旧への取り組みを、物語として分かりやすく可視化した案件です。
自治体・行政広報にも、構成の考え方を応用できる制作事例です。
チラシとWebの両方で使う場合
行政広報では、
- 広報紙
- チラシ
- Webサイト
- SNS
- PDF資料
など複数の媒体を使う場合があります。
この行政活動広報漫画も、チラシ・Web兼用で制作しました。
複数媒体で使う場合は、制作前に、
- 紙面サイズ
- Web上の掲載位置
- 漫画以外に掲載する文章
- QRコードや問い合わせ先
- どの媒体を主にするか
を整理しておくと設計しやすくなります。WebやPDFで掲載する場合は、重要な情報を漫画画像だけに閉じ込めず、本文や周辺のテキストでも確認できるようにします。画像の内容に応じて代替テキストを設定するなど、情報にアクセスできる経路を用意しておくことも大切です。
公共情報では発注者側の事実確認が重要
漫画にはストーリーやセリフがあります。
だからといって、制度や行政活動について制作者側で内容を補ってよいわけではありません。
特に、
- 制度
- 災害情報
- 公的支援
- 数値
- 実施状況
- 法令
などは、依頼者が提供する正式資料や所管機関の一次情報をもとに制作し、ラフ段階で確認する必要があります。
公共性の高い案件では、ラフ段階を絵柄確認だけでなく、事実関係や表現内容を確認する工程として使うことが重要です。
自治体・行政広報漫画を依頼するときに用意するもの
元となる正式資料
Webページ、PDF、議会資料、制度資料、チラシなど。
想定する読者
「地域住民全員」のように広く置くより、今回特に知ってほしい対象を具体化します。
漫画を読んだあとにしてほしいこと
制度を確認する、問い合わせる、Webを見るなど。
掲載媒体
紙・Web両方なら最初に伝えます。
確認担当者
事実確認を誰が行うか決めておきます。
行政広報漫画は「住民と情報の接点」を作る
行政・自治体の広報漫画で重要なのは、情報を単純化することだけではありません。
そのためには、誰に何を伝えるかを決め、住民側・発信側のどちらの視点が適しているかを整理することが大切です。
公開している制作事例では、地域住民を対象に、災害と復旧への取り組みをチラシ・Web兼用で物語化しています。
すでに広報資料はあるものの、「どこを漫画にすればよいか分からない」という場合も、資料・対象読者・掲載媒体から整理できます。

